溶けろよ、心


「それにしてもさー、志賀すごいよね!」

ナツキが言った。

るいが心配した目で私を見たので、大丈夫だよ、と微笑んでみせた。

「クラスメートからまさかスターが誕生するとはね〜」

梨菜が頷く。

「でも意外じゃない?志賀ってアイドルとかやりそうな感じだったっけ?」

「まあ、かっこよかったしねー」

と、るいが興味なさそうに言う。

「るいはあんまり興味ないの?私CD買っちゃったよ〜」

ナツキが言った。

意外……。クラスにもAnswerのファンはたくさんいるけど、ナツキにはそのイメージがなかった。

「ほんとに!?」

梨菜が驚いて言う。

「うん。普通に好きな感じの歌だし」

「こないだまで同じ教室にいたんだって考えたら、なんかすごいよね」

と、私は言った。

幼なじみだということは、やっぱり隠しておきたかった。



そのことは、晴斗がこっちにいたときからの、私たちだけの秘密だったから。
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