溶けろよ、心


「あっ!真由!」

教室に入ると、ナツキが私を見つけて一目散に駆け寄って来てくれた。

「わあ!おはよう!」

梨菜も手を振りながらこちらへやってくる。


「お、おはよう!」


私が言うと、2人は優しく微笑んだ。

私にとって、2人の制服姿は少し新鮮だった。




そこに、

「あれ、橘さん!」

という声が聞こえた。

びっくりした。男子の声で名前を呼ばれるなんて予想していなかったから。


山下くん……?


「え、山下が真由に何の用?」

「お前、その言い方はねえだろ」

ナツキと山下くんが言い合いを始める。お似合いコンビなのかもしれない、と心の中で思った。
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