溶けろよ、心
「ちっがーう!俺はお前と話しに来たんじゃないんだよ!」
山下くんはそう叫ぶと、くるりと私の方を向いた。
「橘さん」
真剣な顔で、こちらを見ている。
「ここ最近休んでたろ?クラス会で食いもんにあたったりしたのかと思ってたんだ」
「……ええ?ち、違う違う!」
「マジ?あの店選んだの俺だし、やばいことしたかも〜とか思ってたんだけど」
「ううん、全然!」
山下くんにも、要らない心配を掛けてしまっていたなんて。
私は全力で否定した。
優しい人だなあと思った。
いつもクラスの中心にいて、私が関わることなんてないと思っていたけれど。
接してみないと、わからないことはある。