溶けろよ、心


昼休み、私は教室で町田くんを待っていた。

いっそのこと、町田くんの教室に行ってもいいかもしれない。


国語の先生が板書しすぎてむしろ見ずらくなってしまった黒板を見ながら、そんな風に考えていた。



「橘先輩!」


声をかけてきたのは予想外の人物だった。

「藤山くん。何かあった?」

……真剣な様子だ。
休んでいたことで、迷惑をかけたことがあったかもしれない。


「あの、やっぱり体育祭の司会やりませんか?」

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