溶けろよ、心
「あ、じゃあ……」

「そ。結婚したの」

薬指の指輪が、キラリと光った。


「おめでとうございます」


「ふふ、ありがとう。……あ、じゃあ教室でも見ていく?」

「はい!」







久々に入った教室は、私たちの頃よりも少し綺麗な感じがする。


「真由ちゃんたちが卒園してすぐにリニューアルが始まったからねぇ」

じゃあ私たちは、ぎりぎり古い園舎の年だったんだ。


「なんか、すごく小さい……」


机も、椅子も、ロッカーも。


「あはは。真由ちゃんが大きくなったのよ」


先生は笑って、その小さな椅子に腰掛けた。

私も真似をして、机を挟んで先生の真正面の椅子に座った。
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