溶けろよ、心

◎11歳




「もう体調は大丈夫ね」

朝、玄関で私を見送るとき、お母さんが言った。


「うん。大丈夫だよ。行ってきます」


「行ってらっしゃい!」

お母さんの声を背に、私は家を出た。



しかし、その足が向かうのは学校ではない。





学校って、無断で欠席するとどうなるんだろう。

きっと、学校から家に電話がかけられるに違いない。



そうしたら、お母さんは私のケータイに電話をかけるはずだ。





私は、ケータイの電源を切った。





帰ったらお説教だろうな。
それでもかまわないくらい、私は。
< 153 / 334 >

この作品をシェア

pagetop