溶けろよ、心
なんとなく、小学生と一緒に登校するのは気が引けてきた。
私は違う道に入って、何度か角を曲がる。
赤い屋根と、看板に書かれた男の子の絵にたどり着いた。
古びた感じはあっても、外観はあの頃と変わっていない。
「うわ、懐かし……」
小学生のときに晴斗とよく行った駄菓子屋さん。
朝だからシャッターは閉まっている。
することもないので店の前の自動販売機でジュースを買った。
あの頃は駄菓子に夢中で、自動販売機になんて見向きもしなかった。
だけど、ただ1回だけ、一緒にコーラを買って飲んだことがある。
プルタブを開けると、プシュッと心地いい音がして、晴斗が美味しそうにそれをごくごくと飲む。
子ども心に羨ましくなって。
私はその時、初めて炭酸飲料を飲んだ。