溶けろよ、心
美味しくはなかったような気がする。

あまり覚えていないけど。
ただ一緒に飲んだという記憶ばかり残っている。





高校に上がって、私が売店で炭酸飲料を買っていたのを見た晴斗が、家に来たときに

『なあ、お前って炭酸飲めたっけ?』

と聞いてきた。


きっとそういうことなのだろう。

きっと小学生の私は、それをまずいとみなしたんだろう。


それを晴斗は覚えていた。



『え、普通に飲めるけど……』

今考えればそう思うけれど、当時は気づかずこう答えた。



『なんだよ〜早く言えよ!』


晴斗はそう言うと、部屋を飛び出した。
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