溶けろよ、心
あの時は確か、1人でさまよっていた私に
『真由!』
という声が聞こえた。
晴斗の声だった。
必死な顔をして、晴斗が駆け寄ってくる。
『何してんの?』
私は、晴斗の顔を見てすごく安心して泣いた。
晴斗は私と手を繋いでくれた。
晴斗だって博物館の地図なんてわからないはずなのに、私を引っ張ってくれたんだ。
集合時間は迫っていた。
私たちは集合場所を探して、歩き回った。
『大丈夫』
歩きながら、晴斗は何度もそう言ってくれた。