溶けろよ、心


やっと集合場所に着いて、先生が

『実行委員2人して何やってんだ!』

と怒っているのが聞こえたけれど、それよりも気になったのが同級生の目だった。


私たちの、繋がれた手を見てこそこそと話す。

『あの2人、付き合ってるんだ〜』


私たちはそっと手を離した。







その日、私たちは決めた。

みんなの前では仲良くしない。






『俺たち、学校では話さないようにしよう』

晴斗にそう言われたとき、私は傷つかなかった。

ずっと一緒にいるためには、私もそうするしかないと思っていたから。



そうしたらいつの間にか、私たちの噂は消えていた。

選択は間違っていなかったと、今も思う。
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