溶けろよ、心
やっと集合場所に着いて、先生が
『実行委員2人して何やってんだ!』
と怒っているのが聞こえたけれど、それよりも気になったのが同級生の目だった。
私たちの、繋がれた手を見てこそこそと話す。
『あの2人、付き合ってるんだ〜』
私たちはそっと手を離した。
その日、私たちは決めた。
みんなの前では仲良くしない。
*
『俺たち、学校では話さないようにしよう』
晴斗にそう言われたとき、私は傷つかなかった。
ずっと一緒にいるためには、私もそうするしかないと思っていたから。
そうしたらいつの間にか、私たちの噂は消えていた。
選択は間違っていなかったと、今も思う。