溶けろよ、心
◎14歳
おばあちゃんからもらったお小遣い、残しておいてよかった。
私は貯金していた全額を財布に入れた。
もう今朝は制服を着ない。お母さんにも宣戦布告してしまったから。
昨日は夜ごはん抜きを覚悟していたけれど、お母さんは作ってくれた。
何も会話がない私とお母さんを、菜穂は不思議そうに見つめていた。
「いってきます」
「真由。どこに行くかだけは言いなさい」
お母さんは怒った顔で言った。
これは、言わないと雷が落ちる。
もういい。行き先くらい言ってしまおう。
「…………京都」