溶けろよ、心




「まもなく、京都です」

新幹線のアナウンスが告げる。


1人でこの場所に来るのは初めてだ。
前に来たのは、中学2年の修学旅行。


2泊3日。私と晴斗は、些細なことからの喧嘩をしている最中だった。



私の友だちの好きな人を、晴斗が他の人に言ってしまったことがきっかけだった。

それは結局誤解で、晴斗はその友だちと好きな人が両思いだと知っていて、協力しようとしていただけらしい。


それでも私は、晴斗にだけ話した秘密をバラされたことにむかついて、晴斗を無視した。

そこから、私と晴斗の冷戦が始まった。


史上最長の喧嘩。

お互いに仲直りしたくても、自分から謝るのは癪だった。つまり、子どもだったってこと。
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