溶けろよ、心
晴斗が体を起こす。
私は恥ずかしい体勢だったことに気づいて、すぐ晴斗の隣に移動した。


「真由、手出して」

……?
私は不思議に思いながら素直にそれに従う。


「……これあげる」


そう言って手の上に置かれたのは小さな木箱だった。

「これって…オルゴール?」

「そ」


あの日、晴斗がスカウトされた日に行った雑貨屋で私が見てたものだ。
覚えててくれたんだ。でも、これって…

「結構高かったよね?」


「ちょ、バカ。それは言うなよ〜」


到底私に払える金額じゃなくて、買わなかった記憶がある。


「まあ、俺が稼いだ金だし。どう使おうが勝手だろ?真由にこれ買ってやろうって決めてたんだよ」
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