溶けろよ、心

平日の午前中ということで、遊んでいる人は少なかった。


奥の方にプリクラコーナーが見える。

1回くらい、晴斗と撮っておけばよかったな。


何度か誘おうとしたけれど、小っ恥ずかしくなってやめた。

私たちのケータイには、お互いの写真は何枚もあっても、2人で写った写真は1枚もない。


2人の写真があれば、私たちはずっと一緒だったという事実をいつでも確認できたのに。



晴斗がデビューして、会える頻度が減っていった頃、寂しさを埋めるため、私は晴斗の写真をよく眺めていた。



晴斗にも、そういう時間はあったかな。
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