溶けろよ、心

UFOキャッチャーにコインを入れる。


アームと商品に目を凝らし、息を止める。

慎重にボタンを押す。反射神経が大事。

ぬいぐるみは少し浮いたけれど、そのまま持ち上がることはなく、その場で落ちた。


「無理か…」


きっと今、晴斗と来ていたなら私たちは意地でもこのぬいぐるみを取った。



晴斗とはここで、UFOキャッチャーの"特訓"をよくしていた。

子どもっぽいことをしてたなあ、まったく。

そのおかげで、2人ともUFOキャッチャーが大得意になったんだけど。



だから、この間夏祭りで射的をしたときも、何かいける気がしたのに、ダメだった。

UFOキャッチャーと射的は、わけが違うらしい。
< 198 / 334 >

この作品をシェア

pagetop