溶けろよ、心




また電車に揺られ帰ってきた私は、ぼんやりと座っていた。


私の家のすぐ近くの公園で。

2つのブランコしかないような小さな公園に、人は来ない。


考えてみれば、晴斗と1番一緒にいた場所は、この公園かもしれない。


テレビの話、漫画の話、先生の話、友だちの話、進路の話まで、私たちはこのブランコに座ってなんでも話した。



ここが1番落ち着く。

遠くに行ってしまった晴斗が、ふと隣を見ればいるような気がするから。


晴斗は、私の小さな悩みをたった一言で解決して、笑い飛ばしてくれた。

何度も何度も救われた。


辛い時は、ここに来るだけでいいんだと思っていた。


だけど、違うね。晴斗がいなきゃダメだね。



気づけば太陽は沈み始め、夕暮れ時だった。
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