溶けろよ、心
*
また電車に揺られ帰ってきた私は、ぼんやりと座っていた。
私の家のすぐ近くの公園で。
2つのブランコしかないような小さな公園に、人は来ない。
考えてみれば、晴斗と1番一緒にいた場所は、この公園かもしれない。
テレビの話、漫画の話、先生の話、友だちの話、進路の話まで、私たちはこのブランコに座ってなんでも話した。
ここが1番落ち着く。
遠くに行ってしまった晴斗が、ふと隣を見ればいるような気がするから。
晴斗は、私の小さな悩みをたった一言で解決して、笑い飛ばしてくれた。
何度も何度も救われた。
辛い時は、ここに来るだけでいいんだと思っていた。
だけど、違うね。晴斗がいなきゃダメだね。
気づけば太陽は沈み始め、夕暮れ時だった。