溶けろよ、心
「橘っ!」
町田くんが大きな声を出して肩を揺らすから、ビクッとして顔を上げた。
「いつまで逃げてんだよ!」
町田くんと目が合う。
その真剣な眼差しが私の涙腺を刺激して、涙がボロボロとこぼれ出す。
「いい加減、前向けよ!」
「……じゃあ…」
私は必死に言葉を絞り出す。
「じゃあ、私どうしたらいいの!?」
町田くんの手を振り払った。
「……だって、こうするしかないの!
前を向くためにこうしてるの!
今は、晴斗のこと思い出すと辛い!
苦しくて苦しくて仕方ない!
でも、こんなのおかしいの!絶対おかしいの!
晴斗は、晴斗との思い出は、全部楽しかったはずなのに……!
変なんだよ!絶対!
だから、ちゃんと晴斗と向き合って、私は変わりたいの!
だから、だから……!」