溶けろよ、心
「橘!!」
泣きわめく私を止めるように、町田くんが叫んだ。
「……ひぐっ……ひぐっ……」
涙は止まらずに、私の顔をどんどん不細工にしていく。
「それは違う!」
私の両手を取って、町田くんは訴えかけるような口調で言った。
「橘が向き合ってるのは、過去の志賀だろ!向き合わなきゃいけないのは!今の志賀だ!」
「だって、そんなのどうすれば……」
町田くんはゆっくりと、穏やかな口調で言葉を紡いだ。
「会いに行こう。志賀に」
「それって……」
町田くんが頷く。
「明日、東京に行こう」