溶けろよ、心



晴斗の行きつけだというカフェは、若い女性客で混雑していた。

ネットの情報の影響で、Answerのファンも集まっているみたいだ。


「やめておく?こんなに人がいたら、晴斗来ないだろうし」

入店待ちの列に並びながら、私は尋ねた。


「いいじゃん。ここで食べようよ。橘も志賀がよく行くカフェ気になるだろ?」

「それは……気になる……」

町田くんは、どこまでも私の気持ちがわかっている。


「ははは、かわいい」

久々のかわいいは、私の調子が狂わせる。

私は気にしていないふりをするために、軽く目を擦ってみた。
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