溶けろよ、心
そろそろ帰ると、晴斗が私の部屋を去ろうとした時、晴斗は立ち止まって私の目をじっと見つめた。
ふわっと笑った。また、ドキドキする。
「俺、この仕事好きだ」
予想もしてなかった言葉。晴斗があんまり楽しそうに言うから、私もつられて笑顔になった。
「うん。晴斗かっこいいもん。向いてると思う」
「ありがと。俺頑張るから。見てて」
じゃあな、と晴斗は手を挙げて、私から離れていった。
晴斗が口をつけなかったジュースを見つめる。冷たいジュースのコップには水滴がついていて、お盆はびしょ濡れだ。
「……泣いてるの?」
そっとコップを撫でた。
私はその夜、1人で泣いた。