溶けろよ、心

そのとき……頼まれたんだ。

俺の幼なじみの、橘真由を頼むって。


俺がいなくなったら、あいつは困るだろうから、仲良くしてやってくれって言われた。


一度は断ったよ。

でも、お前にしか頼めないって言われてな。


『俺が東京に行ったら、もうこっちの知り合いとは連絡を取らない。

特に、真由とは』


『どうして?』


『絶対戻ってきたくなるから』


『そんなの、自分勝手すぎるだろ』


『しょうがないだろ。金がいるんだ』



志賀は、何かを諦めた目をしてた。

頷くしかなかったよ。

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