溶けろよ、心
「……好きな……?それはないよ」
嘘だ。そんなわけない。
これはただの町田くんの憶測。
町田くんは、この前みたいに私の前の柵に座った。
「余裕であると思うけど」
「何を根拠に」
町田くんがふうっと息をつく。
「橘、Answerの新曲買った?」
そういえば、昨日が発売日だったっけ。
「買ってない」
「俺は買った」
だ、だからなんなんだ……?
「聞かせてあげるよ」
町田くんはそう言って、ポケットから音楽プレーヤーとイヤホンを取り出して、私に差し出した。
それをおずおずと受け取って、耳にはめる。