溶けろよ、心

「あはは、そうだね」


心の奥底で、繋がっているからだ。

言葉は交わさなくても。目が合わなくても。


「じゃあな、真由」

「うん。バイバイ、晴斗」

「あ、待って真由」


ケータイを町田くんに返そうとしたら、晴斗が私を呼び止めた。


「誕生日おめでとう」

言葉に詰まってしまう。
今の今まで、忘れてたよ。

目頭が熱い。

「覚えてたんだ」

「そりゃそうだろ」

晴斗は笑いながら言った。

だから私も笑った。
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