溶けろよ、心

「晴斗。誕生日おめでとう」

「うん。ありがとう」


9月14日。私たちはいつも一緒にいた。

今年から、立っている場所は違うけれど、私はもう挫けたりしない。


「じゃあね、晴斗。頑張ってね。ずっと見てるから」

これでもう、おしまい。
本当の本当に最後だ。

「うん。真由、元気でな」


晴斗が私の名前を呼んでくれるのも、もう最後なんだね。

「さようなら」

私はそう言うと、ケータイを町田くんに返した。


虚しさはどこにもなくて、心に広がるのは爽やかな気持ち。


きっとこれから、私は前を向いて歩いていける。
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