溶けろよ、心

「おう、じゃあな。……はいはい。わかってますよ〜」

町田くんが口をとがらせる。かわいい。


そして、電話は切れたみたいだ。


「つーわけで、また連絡するってさ、志賀」


町田くんが優しくて、嬉しい。
もう、愛おしい。


「……本当に、ありがとう」

今すぐ抱きしめたいくらいだ。


「いいえ〜」

私の笑顔を見て、町田くんは少し悲しそうな表情を浮かべた気がした。

「さあ、そろそろ帰るか〜」

なんとなく、空元気に見える町田くん。

私、何かした……?



私は一人で首を傾げた。
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