溶けろよ、心
13.おかしな心
自分はもう、何にでもなれる気がしている。
「おっはよーう」
誰もいない家で、一人で挨拶をするくらいには浮かれていた。
晴斗と数ヶ月ぶりに電話をしたのは一昨日のことだ。
晴斗に自分の積年の想いを伝えられたこと。
晴斗の抱えていたものを知れたこと。
本当によかった。
心に溜まった重たいものがすべて消えた。
全部全部、町田くんのおかげだ。
感謝してもしきれないな。
私は一人きりの食卓で、パンを紅茶で流し込んだ。
そして、学校指定のジャージに着替え、家を出た。