溶けろよ、心


「真由〜見てた見てた?」


400メートルリレーに出場していたるいが戻ってきて、私に声をかけた。


ストンと隣に座り、私の肩に腕を回す。

少し息が上がっているみたいだ。


「あー!ごめん!見てなかったや」


私は顔の前でパチンと手を合わせ、謝った。

町田くんと話していて競技を見るのを忘れていた。


「え〜!もう!
だけど私は見てたよ〜真由のこと!

町田くんと何話してたの〜?」



「うーん……」



「なになに、何を悩んでんの。るいちゃんに話してみなさいよ」



るいが私の背中をポンポンと叩いた。


「……怒らせちゃったかも。町田くんのこと」



私が俯きがちに言う。

すると、るいは吹き出してあはははっと声を上げて笑った。



「な、なんで笑うの!」



「あはは、ごめんごめん。
町田くんになにかしたの?」



るいは目尻の涙を拭きながら私に尋ねた。


泣くほど笑うこと!?

< 263 / 334 >

この作品をシェア

pagetop