溶けろよ、心
「真由〜見てた見てた?」
400メートルリレーに出場していたるいが戻ってきて、私に声をかけた。
ストンと隣に座り、私の肩に腕を回す。
少し息が上がっているみたいだ。
「あー!ごめん!見てなかったや」
私は顔の前でパチンと手を合わせ、謝った。
町田くんと話していて競技を見るのを忘れていた。
「え〜!もう!
だけど私は見てたよ〜真由のこと!
町田くんと何話してたの〜?」
「うーん……」
「なになに、何を悩んでんの。るいちゃんに話してみなさいよ」
るいが私の背中をポンポンと叩いた。
「……怒らせちゃったかも。町田くんのこと」
私が俯きがちに言う。
すると、るいは吹き出してあはははっと声を上げて笑った。
「な、なんで笑うの!」
「あはは、ごめんごめん。
町田くんになにかしたの?」
るいは目尻の涙を拭きながら私に尋ねた。
泣くほど笑うこと!?