溶けろよ、心
「だって、付き合ってるんだろ?志賀と」
息が、止まるかと思った。
「ふぇっ?」
自分でも素っ頓狂な声が出ているのは分かった。
まさか町田くんにそんな勘違いをされていたなんて。
「え?」
私の反応が意外だったのか、町田くんは目を丸くしてこちらを見ている。
「付き合ってなんて、ない……」
思っていたより声は小さく、涙声になってしまった。
町田くんに「私は晴斗を好きだ」と思われていたことがなんでか悲しい。
今日の昼間も感じたこの胸の痛み。
どこかで味わったことのある、このふわふわしたよくわからない想い。
自分がおかしい。