溶けろよ、心
14.溢れる心



朝。

ぼんやりした頭のままで目を開けると、本棚にくまの人形が見えた。



2人で行った夏祭りで、町田くんがくれたそれ。


毎朝見るたびに町田くんを思い出して顔が熱くなる。
ドキドキしてよく目が覚めるから、ある意味助かってるんだけど。





制服に着替えたら、部屋の勉強机に向かう。


起床時間を1時間早め、受験勉強をすることにしたのだ。



「わからん……」



本格的に勉強を始め気づいたことは、私はやっぱり数学が出来ないということ…。

ほとんど忘れてしまっていて教科書だけでは手につかない単元もある。



「ああ……どうしよ」


自分が出来なすぎて泣きたくなる。

じわっと目に涙が溜まった。


誰もいない1人の部屋は、見られないという安心感からか涙をいつもより誘発する。


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