溶けろよ、心
「なにその間抜けな返事。成績伸び悩んでんの?」
「あ、当たり……」
「どうせ数学だろ」
ずっと隣にいた幼なじみは、隣にいなくてもなんでもお見通しらしい。
「あいつに教えてもらえばいいじゃん」
「あいつ?」
「町田。数学得意だったと思うけど」
前に教えてもらったことがあるのを思い出した。
すごくわかりやすくて、町田くんに習った単元だけはよくわかる。
「迷惑じゃないかな」
「迷惑じゃない」
晴斗はきっぱりと言い切った。
「なんで晴斗がわかるの!」
「なんででも?」
晴斗が私を馬鹿にした顔をしているのが、顔を見なくてもわかった。