溶けろよ、心


「ははっ」


正面から笑い声が聞こえ、ふと我に帰った。


ほんの少し意識を向けていたはずが、すっかりラジオに聞き入ってしまっていた。



「真由、顔赤い」


町田くんに言われ、パッと頰に手を当てる。


これは夏の暑さのせいなのか、晴斗のせいなのか。

わからないけど確かに熱い。



「早く食べないとのびるよ」


「あ、うん」


町田くんのラーメンはもうほとんどない。

私は急いでラーメンに手をつける。






町田くんの目は笑っていなかった。


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