溶けろよ、心



町田くんが私の肩にポンと手を乗せた。


「ちょっとこっち向いてよ」


ぐいと肩を押されて、無理矢理町田くんに体を向けさせられる。


「む、無理!」



ラーメンを食べる前までは普通に顔だって見れた。


どうして今は顔も見られないほど緊張するんだろう。


「恥ずかしいから…」



今日だけで、どんどん好きが増えている。

好きな人といると緊張して怖いなんて、そんな自分初めてだ。


私は顔を覆った手のひらの指の隙間から、こっそりと町田くんを覗いた。


なんとか見られた町田くんの顔は、私のことを言えないくらい赤く染まっていた。



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