溶けろよ、心


【隼人side】


好きだと思えば思うほど、格好つけたくなる。

傷つけたくないと思う。



目の前で必死に問題を解く真由を見ていた。



昼ごはんを一緒に食べたあたりから、真由は様子がおかしい。


最初は、志賀がラジオに出ているからだと思った。


でも俺が志賀の名前を出した時、真由は何の反応も示さなかった。



真由の耳を見つめる。…やっぱり赤い。


彼女は今、誰を想ってるんだろう。



真由がそっと耳を撫でた。熱くなっているのを確かめるみたいに。



かわいい。

昼前までなら絶対言えたのに。



今は言えない。


嫌われたくないという気持ちが、好かれたいという気持ちを上回ったからだ。


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