溶けろよ、心
「…真由?」
考え事をしていて気がつかなかった。
いつのまにかついてきていた真由が、潤んだ瞳を上目遣いに向けてくる。
「どうした?」
真由の目は何かを言いたそうに泳いでいる。
ああ。
今きっと彼女は、俺のことしか考えてない。
なら、いっそのことこのまま時間が止まればいい。
「……あのさ」
俺の手首を掴んだ手に力が入ったのがわかった。
俺の脈がめちゃくちゃ速いこと、バレてないかな。
「…隼人」