溶けろよ、心
4.開かない心


ある日の朝、学校に着くと、なぜか私の席に町田くんがいた。

「おはよ!橘」

町田くんは座ったまま私を見上げて言った。

「お、おはよう」

なんだこの怪しい感じ……。

町田くんは休み時間に何かとクラスにやってきて、本を読んでいる私に声をかける。日に日に私にちょっかいを出す回数が増している気がする。


「アドレス交換しない?つか今度遊びに行かない?映画とか好き?」

と、私にケータイを差し出してくる。

怒涛の質問攻め!突然どうしたんだろう?ていうか…

「私たちって、一応受験生なんじゃ…」


まだ夏休み前とはいえ、そろそろ勉強しないとまずいはず。以前に比べたら私もやる気出てきたし。



「あー…じゃあ映画見たあとに一緒に勉強しない?」

町田くんは立ち上がって私に顔を近づけた。

「け、結構ぐいぐいくるね……」

「橘、心の声漏れちゃってるけど」

「あ」

私は慌てて口を抑えた。
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