溶けろよ、心
町田くんが止まったのは、人がいない路地。

くるっと振り返って、私の目を見つめた。



ここまで来る途中、涙は止まらなかった。拭っても拭っても、体中が晴斗って叫んでた。最近、そういうことがよくあった。



「橘」

町田くんは私のことをじっと見つめていた。

「俺に話してみる気ない?橘が思ってること、全部」

私は、町田くんの目が見られなかった。

首を横に振ることしか、出来なかったんだ。
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