溶けろよ、心


放課後。いつものように鞄に教科書を詰める。

「真由ちゃーん、帰る?途中まで一緒に行こう」

クラスの友達のるいちゃん。先日の席替えで席が離れてからは朝と昼ごはんと放課後しか話さなくなったけど、クラスでは一番仲のいい子。

るいちゃんは私と違って友達がたくさんいる。
私は、そんなるいちゃんが私なんかと仲良くしてくれることに、少し申し訳なさを感じている。

「うん、帰るよ」

他愛もない会話をしながら廊下を歩く。
るいちゃんは吹奏楽部。大会がまだあるので引退していない。

「じゃあねーまた明日!」

音楽室への階段の前で別れる。

「うん、部活頑張って!」

「ありがとうー」
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