溶けろよ、心

「びっくりしました〜いつもと雰囲気違うから」


声の方向を向くと、よく知る顔があった。

黒縁メガネが本体なんじゃないかっていつも弄られてた、かわいい後輩。

「藤山くん」

「彼氏と行くんすか?夏祭り」

藤山くんが深刻そうな顔で聞いてきた。


「なんで!?」

なんでそうなるの……。


「だって今日めちゃくちゃかわいいじゃないすか」

藤山くん、耳が赤くなってる。


「ち、違うよ。友達と」


「ああ、なんだ……」

藤山くんがほっとしたように胸をなで下ろす。




「橘。お待たせ」
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