溶けろよ、心

「行こうか」

「あ、うん」

私が頷くと、町田くんは私の手を取った。町田くんの右手と私の左手が繋がった状態になる。

な、なんで……?


私が驚いていると、町田くんは

「人多くて、はぐれると危ないから」

と言った。

町田くんの手のぬくもりを感じて緊張する。


「つか、今日もっと早く来れば良かった」

「どうして?」

まだまだ花火は始まらないし、十分出店を回る時間はあると思うけど……。



「橘を1人で待たせちゃったから」


「えっと、そんなに待ってないよ?」
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