溶けろよ、心
「あ、こんばんは」

急に声をかけられてむせそうになる。

「藤山くん!」

「また会いましたね」

友達と何人かで来ているみたい。さっきの、あーんのタイミングじゃなくて良かった。
かき氷かきこんでるところは見られちゃったな、恥ずかしい。

「そうだね」

「はい。それじゃあ…」

藤山くんが立ち去ろうとする。

「あっ、待って」

そんな藤山くんを、私は引き止めた。

「頑張ってね、部活。応援してるから」

私が微笑むと、藤山くんはとびきりの笑顔で、

「はい、ありがとうございます!」

と言って、走って友達を追いかけた。
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