溶けろよ、心


「ぐあー!思ったより捗ったなー!ファミレス」

薄暗くなってきた外に出て、町田くんは大きく伸びをした。

「そうだね!町田くんのおかげでちょっとできるようになった」

町田くんは数学が得意らしい。私はすごく苦手で、いつも赤点ギリギリラインを行ったり来たりしている。

「俺少ししか教えてないだろ。橘はもともと出来るんだよ」

町田くんはそう言うと、隣を歩く私の頭をポンポンと撫でた。
もう何度されたか分からない。弟がいるから癖になってるのかもしれない。

私はそんなことを考えながら、触られたところに手をやった。町田くんに触れられると、びっくりするけど、胸がきゅんとする感じがした。
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