溶けろよ、心


「お姉ちゃん?どうしたの?」

はっ!食事中にぼーっとしてしまった。3日前のことをずっと思い出していた。

「真由、少し顔が赤いぞ。大丈夫か?」

「えっ!大丈夫大丈夫!」

私は頬を抑えた。



3日前の別れ際、

私がバイバイと手を振ると、

『俺は抱きしめたままでも良かったんだけどね』

町田くんが耳元で囁いた。私は町田くんを睨んだ。睨んでも全然怖くないって自分でもわかる。

顔が熱い。

町田くんが乗り込んだ電車のドアが、プシューと閉まった。

ドアの向こうで目が合う。


じゃあね、と手を振る町田くんが余裕そうなのが悔しかった。



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