もし君に好きと言えたなら
爛漫と咲き誇る桜が、並木道を華やかに飾っている。
優しい風が吹いた。地面に落ちていた花弁は、徒競走をするかのように走り出し、俺を追い越していく。
今日は第一志望校だった城北高校の入学式。
城北高校は校舎が広く、綺麗で、大学進学率も高い。そのため毎年倍率が高く、入るのがとても困難だといわれている高校。
ふと、空を見上げると雲一つない青空が果てしなく広がっていた。
・・・“彼女”はこの高校を受けたのだろうか。
告白される前までの彼女の志望校は確かここだったはず。
受験当日は彼女の姿を見ることはなかったが、いるかもしれないという淡い期待を抱きながら正門をくぐった。