野良ネコと…………ひなたぼっこ
「ちょっと……ドライブ……しよっかぁ~」

何処でも良かった。

ただ………『ここから離れないと!』って………

今の彼女に………この現実を背負わせるのは酷だから。

目の前で起こった出来事は…………

父親の裏切りと………家族崩壊を意味する。

泣いてくれれば………。

泣いて…………オレを思い出してくれたら…………。

一人で殻に籠って………傷が癒えるのを待たないで欲しい。

彼女の手を握ってみた。

冷たい手は………もう後僅かで………夏がくるようには思えない。

一人じゃないよ。

心で呟いて………「大丈夫。」と伝えると………

ホンの少し、温もりを取り戻した。

ヨシ!!

オレが支えられる。

近くの公園に車を止めた。

まだ………家に帰せない。

「降りる?」と聞くと……以外にも頷いた。

ベンチに座り、手を広げると………オレの前にちょこんと腰を下ろした。

…………………もう大丈夫だ。

彼女は、自分の居場所を思い出した。

後ろからギュッと抱きしめて……冷えきった心を暖めると………

ゆっくり…………涙がこぼれ落ちた。
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