野良ネコと…………ひなたぼっこ
四人に引っ張られて、グングン遠ざかっていく唯ちゃん。

泳げない彼女は、浮き輪をつけてキャッキャとはしゃいでる。

まったく………。

あの笑顔を見てるとどうでも良くなる。

この間、お父さんのことで涙していたことを考えると………

楽しそうに笑ってる彼女に、ほっとする………。

一応、『男は危ないから気をつけなさい』って教えておかないといけないけど

本当のところは……まぁ~いっかぁ~!って思ってるんだよね。

女の子の泳ぎじゃあ、直ぐに追い付く。

唯ちゃんの浮き輪を掴むと

「二人でデートしておいで~」と、笑って送り出してくれる四人。

本当、良いやつらだよ。

浮き輪を持って、グングン沖に連れて行くと

半泣きで「ねぇ~、先生。怖いから……帰ろうよぅ。」って。

ちょっと可笑しくなってきて「ダ~メ!」って言うと

ハッと気づいたみたいで……

「先生、もしかして………何か怒ってる??」って。

もしかしてって…………。

ホントに、鈍いよね。

「どうして、その水着にしたの??
なんで前のピンクの水着にしなかったの?」

『その水着はマズイよ。』って言ってるのに

「えっ!先生って……ピンクの方が好きだったの???」って………。

いやいや!これも、とっても可愛いです。

「これも、よく似合ってるよ。
でもダ~メ!
沢山の人がいるこの海で、このビキニは危ないでしょう?」

「ええっ~。どうして???
四人の方が、もっとセクシーだよ??
四人に見劣りしないように、尋ちゃんに借りたのに………。
先生が四人ばかり見たら嫌だから着たんだよ。」

オレのために着たなんて………

どこでそんな男を手玉に取るようなセリフを覚えたんだろう。

そんなことを言われて、怒れないよ。

まぁ~、甘い顔ばかりしてたらいけないから……………。
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