野良ネコと…………ひなたぼっこ
トトトトトッ……………。

小さな足音が、事務所に近づいてくる。

そろそろかぁ~?

扉に向かうと……「パパ~!」と飛びついてくる女の子。

もちろん、唯ちゃんではない。

抱上げながら、窓ガラスに映る影を確認。

どうやらやっと気づいたみたいだ。

チラチラ気にする横顔が可愛いくて……笑いそうになる。

わざとナイショ話をしてみたら……みるみるテンションが下がり始めた。

もしかして……初めてのヤキモチ?

仕事を忘れて喜びそうになったが……

流石にここで泣かれると困るので、愛里ちゃんをクラスに帰した。

今夜の電話が楽しみだ!!

こんな意地悪をしてしまうのも……………仕方ない。

オレのヤキモチは……彼女の比ではないのだから……………。

3歳児相手ならこんなにヤキモキしない。

現に、『ケン』がいくら片思いをしてても何とも思わない。

ただ………この春入った新人の『コウ』は……………脅威だ。

年齢も唯ちゃんと1つ違い。

四大出のコウは、後輩だけど唯ちゃんよりも1つ年上だ。

面倒見の良い気さくな奴で、唯ちゃんの事がなければ………

オレの相棒としてずっといて欲しい人材だ。

男のコウは……

幼稚園教諭だけでは家族を養っていくのは難しくなる。

今からゆっくり育てて、オレが園長になる頃には……

役職がつけるようにしたいと思っていた。

………………あくまで……『いた』だ。

『彼女』だと公表したがらない唯ちゃんに合わせて……

オレ達の関係を、園ではナイショにしている。

薄々気づいてる人もいるが…………新人二人は…気づいていない。

コウが、優しく可愛い彼女に目がいくのは仕方がない。

むしろ…………当たり前だ。

ただ、唯ちゃんを信用してない訳ではないが

若いアイツに思いを寄せられると…………傾かない保証が持てない。

一度不安を持つと…………

怒りすぎた過去や……………

10歳も離れた年の差が気になってしょうがない。

こうなると…………オレの彼女になってくれた方が奇跡なのだ。

今はまだ新人らしく、アピールしていないが……

もう少し落ち着いて来たら…………………不安だ。







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