野良ネコと…………ひなたぼっこ
お願いした通り、唯ちゃん以外がバスの席でペアになった。

一人、あぶれたのは唯ちゃん。

「ここ、良い??」

もちろん、席は沢山空いていたが……迷わず唯ちゃんの隣に、声をかける。

戸惑う唯ちゃんをムシすると、後ろから

「どうぞ、どうぞ。」

「その席空いてるから……座って大丈夫だよ。」

「先生、お菓子食べる?」と声がする。

笑顔で応えていたら

着信音が………

遅刻魔の梓先生かと思いながら開くと……コウ。

珍しいと後ろを見ると………梓先生がいた。

ごめん。

苦笑いしながら電話に出ると

『すみません!!!』と、耳鳴りがしそうなくらい大きな声。

思わず『ウルサイ!!』と怒鳴りそうになったが………

横を見ると……キョトンと可愛い目で、こっちを見ている唯ちゃん。

おぉ!

もう少しで、怖がらせるところだった。

せっかく、出来る上司と……遅刻する、ダメな後輩なんだから……

しっかり利用して、唯ちゃんに良い印象を与えないとな。

小狡い考えは、直ぐ破られるらしくて………

怪我をした小学生を家まで送って…遅刻みたいだ。

旅行の荷物を持ちながら、おぶって連れて行った事に

感動した唯ちゃんは………

『スゴい、スゴい。』と褒めまくってる。

オレだって、その場にいたらそうするって………。

何となく、朝から面白くない。
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