野良ネコと…………ひなたぼっこ
「先生。
みてみて!!可愛い!!」

唯ちゃんが手にしているのは……イチゴ柄のフキンと鍋つかみ。

さっき、花柄の菜箸を持って来たのに。

カートの中は、ピンクの家庭用品で溢れてる。

ナチュラルな家具で揃えたオレの家は、唯ちゃんの色で染まりそうだ。

幸せそうなら、何でもOKなんだけどね。

ニッコリ笑うと、後ろからピンクのフライパンが出てきた。

ホント、楽しくなりそうだ。

思った以上の買い物で、カートが山積みになったから

唯ちゃんを残して、オレだけ1度車に置いてくることにした。

「いい、絶対に知らない人に着いて行かないんだよ。
後、絶対にしゃがんだらダメだからね!!」ってしっかり約束をして。

普通……冗談で言うんだけど

唯ちゃんの場合、真面目に約束しておかないと……本気で心配なんだよね。

拗ねてるお嬢ちゃんを本屋で待たせて

『絶対、ここを動かないこと!』と最後の約束をして別れた。

レジで精算を済ませ、車のある5階で荷物を置くと……

朝の車で決心したことを行動にうつした。

唯ちゃんのいる3階の本屋ではなく

1階にある雑貨店でキーホルダーを買うと、靴を直すシューズコーナーへ。

そこで計画を実行している間に、兄貴に電話をする。

唯ちゃんの事情とオレが今からしようとすることの報告をすると

「頑張れ。
悠にしか、唯ちゃんは助けられないって事をしっかり心に留めて
たとえ何を言われても、自分が良いと思った事を突き通せ。
オレは、お前の味方だから……困ったらいつでも言ってこい。」と

力強い応援をもらった。

その後四人に報告するつもりで、再び携帯を取り出すと

着信音が聞こえた。
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