野良ネコと…………ひなたぼっこ
そろそろタイムリミット………っというところで、着信が鳴った。

電話の相手はお母さん。

早く娘を帰せ!って苛立ったお父さんからの催促かと思ったのに

電話の内容は『悠人君も一緒に来てくれないか?』というものだった。

焦ったオレは、2日連続唯ちゃんのお家にお邪魔するため

かんたんにシャワーを浴び、かしこまらない程度の服を探し………

出掛ける用意をした。

「唯ちゃん、出掛けるよ!カバン持って。」

焦るオレとは対象的に、ニヤニヤした顔を見せてくる。

オレと一緒に帰れることが、相当嬉しいみたいだ。

「な~に、笑ってんだか。」

結局、お邪魔したのは約束の時間を少し回ってからになった。

あぁ、初日から遅刻かぁ………。

唯ちゃんは「仕方ないよ、急に呼ばれたんだもん。」っていうが……

そういう問題じゃない。

これから長い付き合いにしたい俺としては、最初が肝心なのだ。

ジャケットの襟を、もう一度整えて玄関に向かう。

「ただいま」

「お邪魔します。」

遅くなった後ろめたさに、小声で挨拶をしながらドアを開けると

「貴様!!」と

お父さんのどなり声が聞こえた。

慌てて入り、リビングに向かうと

怒りマックスのお父さんと、オロオロするお母さん。

はぶててソッポを向いた尋ちゃんと土下座の和君。

ソッとお父さん達に声をかけると

「いらっしゃい。」と少し冷静になった。

「お姉ちゃん、聞いて!
お父さん、和君が挨拶したらいきなり怒鳴ったんだよ!」

尋ちゃんの言葉に…………

笑い始めた唯ちゃん。

< 75 / 83 >

この作品をシェア

pagetop