野良ネコと…………ひなたぼっこ
珍しく声を出して笑う唯ちゃんに、目を向けると。

涙をこぼしてた。

よしよし。

ご両親の前だけど、構わず抱き寄せる。

頭を撫でると

『尋ちゃんの彼氏に、心配したお父さんが怒ってて。
隣でオロオロするお母さんがいて………
家族なんだなぁって思ったら………
可笑しいのに嬉しくて………
幸せ過ぎて涙が出た。』と…………

これには誰も言葉が出ない。

泣いたらいいよ。

ワガママばかりしてきた家族を………困らせたらいい。

唯ちゃんは、頑張ったんだから。

心の中で『怒っても良いくらいだよ』って、けしかけたのに…

優しい彼女は

「お父さん、和也さんは尋ちゃんの事を……本当に大切にしているよ。
私に先生がいたように…尋ちゃんには和也さんがいたから
乗り越えられたんだよ。
尋ちゃんはお父さん似の短気で、気持ちをキチンと伝えられないけど
唯以上に淋し思いをしていたはずなの。不安もいっぱいあったはずだよ。
それでも勉強も部活も頑張ったのは…和也さんが支えてくれたからだと思う。
だから……頭ごなしに怒らないで、ゆっくり話しを聞いてあげて。」と…。

結局、唯ちゃんの言葉に……みんな冷静になれて

尋ちゃんも思いをお父さんに伝え、和君もご両親にお詫びすることができ……

お父さんも、そんな二人を許して……自分達が親として至らなく

二人の娘に悲しい思いをさせたことを、謝った。

……………どうやら、俺はいなくても大丈夫だったな。

多分、元は仲が良く……何でも話してきていたんだろう。

ちょっとしたきっかけで、また………元に戻れるかもしれないなぁ。

唯ちゃんののぞむ形に、少しでも近づいたらと願う。
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